第1章 ヒーローとの出会い
千明side
響也さんがお風呂を準備してくれていて、先に入って来いとタオルを渡された。
「はぁ……」
湯船に浸かりながら大きく溜息を吐いた。
昨日といい、今日といい色々ありすぎて疲れた。
明日からどうしよう。
ずっとここにいるわけにもいかない。
もっとお金を貯めて家を探すしかない。
まずはバイトだな。
10分ほど浸かった後、お風呂から上がり髪を拭きながらリビングに戻る。
扉が開いていた為そっと覗くと写真を見ながら響也さんが話していた。
やっぱり何度観ても写真に写る人は綺麗だ。
「昨日はごめん。お前の命日なのにお参りにも行けなくて。本当は帰ってきてからここで一緒に酒を飲むはずだったんだ。ちゃんと俺はお前しか愛していないから安心してくれ。今家にいる餓鬼とも何も無い。」
邪魔しては悪いと俺も静かに見守り、少し時間を置いて部屋に入ろうとその場にしゃがみこんで壁にもたれかかった。
昨日、あの人の命日だったのか。
それなのに俺は……
響也さんは寂しそうな笑顔で写真に語りかける。
あんな顔あの人もするんだ。
「どうして助けちまったんだろうなぁ……Ωってだけでお前と重ねちまったのかもな。全然見た目も性格も違うのに。」
早くこの家から出ていかないと、俺は邪魔者だ。