第1章 ヒーローとの出会い
響也side
家に帰り着くと未だに困惑しているのか玄関に立ちっぱなしになっている。
家に帰りたがらないのは何らかの事情があるのだろう。
不本意だが、あのまま放っておく事も出来ずに俺の家に連れてきてしまった。
「何突っ立ってんだ。早く上がれ。」
「え、あ……うん……」
リビングに入り、一度落ち着かせることにした。
あの状況で取り乱さなかった事に驚いた。
意外とコイツ、メンタル強いのかもしれない。
家を出る前に作り終えていた夕食を温める。
時刻は20時を回っている。
急いで済ませないと明日も仕事だ。
食事を食卓に並べ、席に着く。
「とりあえず食べろ。話はそれからだ。」
「……いただきます。」
丁寧に手を合わせ箸を片手に白ご飯を頬張る。
見た目とは裏腹に箸の使い方や食べ方に丁寧さを感じる。
実はしっかり教育を受けているのだろうか。
「美味い……」
そう言って涙を流し始めた。
ずっと堪えていたのだろう。
「あれ……何で……おかしいな……ぐす……」
涙を流しながらも腹は減っていたのか次々と口の中に運んでいく。
「落ち着いて食べろ。別に誰も急かさねぇから。」
「……うん……ぐす……」
流石高校生、食べる量が多いようだ。
あっという間に平らげてしまっていた。