第1章 初詣
「雛鶴さーん、どうしましょうー」
「須磨?」
「本当にもう!あんた鈍臭いにも程があるわよ!!」
「まきをさんが大きな声で怒るから、お茶こぼしちゃったんですよー!!」
言葉通り、白藤様に誂えていた振袖は白地の生地。
それに、斑に緑の染みが出来ていた。
「須磨、貴方……」
「ご、ごめんなさい……」
必死に頭を下げる須磨を前に、白藤は笑う。
「私なら藤の屋敷に着物が置いてありますから、お構いなく。須磨さん。火傷されませんでしたか?」
「何ともありません……」
「そうですか、良かったです」