第3章 きっかけ
ノートを拾い終えると國神は半分より多く持ってくれた。
國「どこまで運べばいい?」
「すごく言いづらいんですけど、これ1,2,3組のノートなんです。バラバラになっちゃったから名簿見てわけないと…」
國「そうか」
「あ、でも1組まで運んでくれればあとの仕分けは私がやるので大丈夫ですよ」
國「結構時間かかるだろ」
「はい、なので1人で…」
國「なんでだ?2人でやった方が早いだろ」
「え?」
國「ん?だから、1人でやったら時間かかることも2人でやったら2倍の速さで終わるだろ。手伝う」
「そんな…でもっ」
國「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。あと敬語やめね?俺たち同学年だろ」
「えっ!?一年生ですか!?体が大きいからてっきり三年生かと…」
國「お前と同じ、一年生だ。だから敬語はもう無しな?」
國神は人当たりのいい笑みで言った。
「わかっ…た…」
國「よし。名前、なんて言うの?」
「、天羽。あなた…うーん、君…うーん」
國「ハハッ。錬介だ。國神錬介。」
「國神くんね」
國「あぁ。これからよろしくな」
「こちらこそ」
國「何組なんだ?」
「私5組。國神くんは?」
國「俺は3組」
「隣の隣だったんだ…知らなかったや。ごめんね」
國「俺あんま教室いないから、仕方ない」
そうこう話しているうちに2人は仕分けを終え、もう一つのノートの山も2人で片付けた。
國「よし…終わったな」
「ありがとう。國神くんのおかげで助かった」
國「また困ったら呼べよ。つっても練習あるから放課後はあんまいねーけど」
國神は苦笑いした。
「何部なの?」
國「サッカー部」
「そうなんだ。気持ちだけで十分だよ。ありがとう」
國「おう。そんじゃあな」
「うん、練習頑張って」
國神は手を軽く上げて練習へと向かった。
「國神くん、か…いい人だな」
は國神の姿が見えなくなるまで見送った。