第6章 不穏
「う、うぅ…國神くん…ひっく…ひっく…うわぁーん!」
は國神の姿を見ると安心したのか声をあげて泣いた。
國神は思わずそっとの頭を引き寄せ、抱きしめた。
國「怖かったな…わりぃ、遅くなっちまって」
國神はの背中を撫でると、向こう側にいる芹澤を睨んだ。
國「お前…なんかいけ好かねぇと思ってたけど、やっぱりな」
芹「それはこちらのセリフですよ」
すると芹澤はあろうことか國神とにメスを持つ手を振り上げた。
ガシッ
しかし、國神は片手で受け止めた。
そして抱きしめるの耳元で囁いた。
國「悪い、もうちょっとだけ待ってろな」
そう言うと國神は受け止めたまま立ち上がった。
國「俺がそんなもんで怯むと思ってんのかよ。なめんなよ、おっさん」
國神は芹澤の手を捻りメスを離させた。
そして両手を後ろにさせ、近くにあった紐で縛り上げた。
國「逃げんなよ、見張ってるからな」
すると國神はのそばにより、自分の携帯から学校の職員室に電話をかけ、事の説明をした。
國「今から教頭が来るってよ。説明できるか?」
はコクコクと頷いた。
國「いい子だ。これは見られたら俺が嫌だから閉めとこうな」
國神はの頭を撫でると、シャツのボタンを優しくしめ、手錠を外した。
事情を知った教頭と校長は、すぐに警察に通報し、芹澤は捕まった。
を助けたことにより、國神の部活中の携帯の使用と、部活の抜け出しは不問となった。
ウサギも他の先生により動物病院に連れていかれ、事なきを得た。