第7章 本音
そしてこの日、2人は一緒に帰った。
國「悪かった、電話、すぐに気づけなくて」
「ううん、部活中だったのに、私こそごめん」
國「そんなことは気にすんな」
「うん…ありがとう。助けに来てくれて。もし國神くんが来てくれなかったら私…」
その先の言葉は恐ろしくて言えなかった。
國「間に合って良かった」
震えるの手に気づいた國神は、そっと握るとそう言って優しく微笑んだ。
「國神くん…」
はまた瞳を潤ませた。
國「…なぁ、なんで最近俺のこと避けてたんだ?」
「それは…」
は口ごもってしまった。
すると、後ろからその答えが聞こえてきた。
来「私が錬くんを好きって言ったから」
2人が後ろを振り向くと、来実が歩いてきていた。
國「来実…」
来「錬くん、私錬くんが好き」
はそっと國神に握られていた手を外した。
来実はそれを一瞥するとそのまま続けた。
来「最初は靡いてくれないからただ意地になってただけだった。でも、誰よりもストイックで一生懸命で、チャンスもちゃんと物にして。ずっと見てたらいつのまにか好きになってた」
國「ありがとう。でも…」
来「分かってる。錬くんの答えは。でもこれだけは言わせて。私はその子より可愛いし、モテるし、周りから見ても、私の方が絶対錬くんにお似合いだと思う。こんな子が錬くんを好きって言ってくれること、きっともうこの先ないよ。それでもいいの?」
國神はの方を一度見てから来実に向き直った。
そしても國神の言う答えを待った。
國「うん、それでも俺は天羽がいい」
「國神くん…!」
来「ふーん…。分かった。じゃあもういいや。私のこと好きじゃない人なんて興味ないし。それじゃ、お幸せに」
来実は最後にそう言うとあっさりと踵を返した。
「来実さん!」
来実は黙って振り向いた。
「ありがとう…」
その言葉を聞くとまたくるっと体を進行方向に回転させ、後ろ手に手を振った。