第6章 不穏
その頃國神は
走り込みから筋トレに移る際、いつもなら携帯など見ないはずなのに、この日は見た。
なぜか見なければいけない気がした。
國(ん?天羽から着信…何かあったのか?)
今まで電話などかけてきたことがなかった上に、避けられていたため何か緊急なのではないかと思い、國神は掛け直した。
来「あー携帯なんていじっちゃダメだぞ♡」
来実が声をかけてきた。
しかし
『おかけになった電話は電波の届かない場所にいるか、電源が入っていないため、かかりません。』
と無機質なアナウンスが流れ、切れてしまった。
来「ちょっとー聞いてるー?」
おかしい。
國神は直感でそう感じた。
気づいた時には来実の言葉なんて無視して走り出していた。
来「あ、ちょ、錬くん!監督に言っちゃうよ!って…もう行っちゃった…なんなの…?」
まずは教室を覗いた。
國「天羽!はぁ…はぁ…」
クラスメートA「國神か、天羽さんならカバンはあるけどいないよ。いたら掃除頼もうと思ったのにさー、今日に限って…!?」
國神はその男子の胸ぐらを掴んだ。
國「あいつ今どこにいる」
クラスメートA「えっ、いや、見てなかったからわからない…ごめんっ…」
國神は手を離すとまた走り出し、傘もささずに外に向かった。
クラスメートA「げほっ、げほっ、なんだよ…いきなり…」
ウサギ小屋の前には傘が開いたまま転がっていた。
拾ってみるとそこには丁寧に名前が書いてあった。
"天羽"
しかし周りを見渡してみてもいない。
國(どこだ?どこに行った?ん…?ウサギが1匹いない…あの弱ってたやつが。あいつを連れて行ったのか…)
それが分かれば向かう場所はもう一つしかなかった。