第4章 気になる
その後ろ姿をまだ片付けをしている来実は見ていた。
来(錬くん…帰ったんじゃなかったの…?隣の相合傘してる女は誰…?私よりその女…?私が負けるなんて…ありえない。絶対ありえない。誰なのか絶対突き止めるから)
しばらくの沈黙を破ったのは今度は國神だった。
國「家どの辺なんだ?」
「西高寺の方だよ」
國「結構近いんだな」
「國神くんは?」
國「道の駅の方だ」
「え!?反対方向じゃん!ごめん…」
は珍しく慌てた。
國「気にすんなよ。1人濡らして帰る方が俺は嫌だ」
「ありがとう…」
國「おう」
「あのね、ずっと不思議に思ってたことがあるんだけど、聞いてもいいかな」
國「なんだ?」
「初めて会ったあの日、私学年言ってなかったのに、どうして1年生って分かったの?」
國「あー、天羽っていつも朝同じ時間に来て花に水やりに来てるだろ?」
「あ、うん」
國「部員の1人があれは誰なんだって騒いでて、先輩が今年から見かけるって言ってたから、俺たちと同じ一年だろうなと思ったんだ」
「なるほどね、てか國神くん、それが私だってよくわかったね」
國「誰があげてるのかってのは知らなかった。あの日、天羽に会うまでは。」
國神は立ち止まり、の方を見た。
も歩みを止め、國神の方を見た。
お互いに目が離せなかった。
國「でも、会ってすぐに分かった。毎朝来てるあの女子は、天羽だって。なんでそう思ったかはわからない。でも分かったんだ」
見つめあっている状況を急に認識した2人は勢いよく顔を逸らした。
「そ、そうだったんだ…なんか、恥ずかしいな…ハハハ…」
國「俺もなんか恥ずかしいこと言った気がする…わりぃ…」
2人の鼓動は周りに聞こえるんじゃないかというほど音を立てていた。