第4章 気になる
は驚きで目をパチクリさせると、笑って言った。
「ありがとう。國神くん。でも私は大丈夫だよ」
國「大丈夫って…」
「私、帰宅部だし、友達も多くいるわけじゃないし、家に帰っても誰もいないから、やることもないんだ。趣味とかもないしね。それなら用事がある人や部活がある人はそっちを優先して、私が代われるものは私がやったらいいと思うの」
國「…」
國神はなんとも切ない顔でを見つめた。
「そんな悲しい顔しないで?…それにね、そうやって誰かに頼まれると嬉しいんだ。こんな私でも、誰かの役に立ててるんだってそう思える。だから大丈夫だよ」
國神には、が自分にそう言い聞かせてるように聞こえた。
國「天羽、頼られるのと良いように使われるのは…」
違うと言おうとした時、が國神の手をギュッと握り返し、小さく首を横に振った。
それ以上は言わないでと言うように。
そのようにされてはもう國神もそれ以上は何も言えなかった。
「これ終わったら帰るね。お疲れ様國神くん」
は國神の手を離すとまた課題に向き直った。
國「…傘持ってんのか?」
「ううん、やむかなぁと思ってたんだけど、止まなそうだね」
國「じゃあ待ってるよ」
「じゃああと1問だからすぐ終わらせるね」
そして宣言通り、すぐ終わった。
2人は校門まで一緒に歩いた。
「國神くんは、傘持ってるの?」
國「おう、折りたたみだけど結構でかいから多分2人は入れる」
「え?私はいいよ」
國「いいから」
國神はそういうと先に外に出て傘をさした。
國「ほら、帰るぞ」
「ありがとう…」
そう言うと控えめに國神の横に入った。
國神は知っていた。
は一度断ってももう一度言えば素直に聞いてくれることを。
ギュッ…
國神はの肩をグッと自分の方に寄せた。
國「…濡れるだろ…それにもっとこっち来てくんないと、歩きづらい」
「ごめん…」
こう言う2人の顔は真っ赤だった。