第2章 離婚か風俗か
でも、夫は執拗だった。
「稼ぎ的には、本番の方がいいし、野々花には、向いていると思うよ。というか、他は無理だろ。セクシーランジェリーを着て、男を誘うとか、トークで楽しませるとか」
わたしの顔をジッと見て、
「不妊治療して、子供を作るなら、やるしかないって!それに、不妊なら、中出しだってOKだから、客だってくるぜ」
その言い方がつらかった。悲しくて涙があふれたけど、夫は、気遣う様子もなく、
「泣いても無駄だって。泣いて金が湧いてくるなら、泣いてもいいけど、泣いたって金にはならないのだから」
ダメを押す感じの夫。
「無理よ。静也以外の男の人の前で裸になったことが無いし」
わたしが言うと、
「って、俺の前でも照明を暗くしないとダメだからな」
納得したような感じだったけど、
「まずは、明るいところで裸になる練習しないと始まらないな」
笑う夫。楽しんでいる感じ?
「野々花。今日から家の中では、裸で過ごして、慣らしたら。でないと、風俗デビューは無理だから」
真面目な顔で話す夫。わたしが首を振ると、
「俺で慣れて、次のステップだよ。でなければ、不妊治療ができないよ」
わたしを見る夫。蔑みがあった。
「だいたい、お前が不妊症じゃなかったら、こんなに悩むことはなかったってわかってる?」
と言って、わたしを見る夫。
「俺だって、なにも、こんなことして楽しいわけじゃない。俺も野々花との子供が欲しいから、どうしたらいいか考えて、話している」
本当に考えている?でも、不妊治療にかかる金を手に入れるには、それくらいしかないのかもしれないけど。
「俺も、頑張るよ。来月から、土曜日と日曜日もアルバイトに行くから。と言っても、時給1100円じゃ、6時間働いても、6600円にしかならないけど」
と、話す夫。
風俗の募集とは、比較にならない感じだった。わたしが風俗で働く方が効率がいいのは確かだったわ。