第2章 離婚か風俗か
「なのに、どうして、大学時代、わたしを抱いたの?どうして、結婚相手にわたしを選んだの?」
聞きたかったけど、聞けなかったことを聞いてみた。
「だって、野々花が言っただろ。俺の嫁さんになるって」
と、話した夫。え???覚えがない・・・。怪訝な顔のわたしを見て夫が、補足した。
「覚えていないの?小学校のとき『大きくなったら静也君のお嫁さんになる』って言ったじゃないか」
「そ、それは・・・」
思い出した。小学校の1年生のときに、学童のとき、校庭で・・・。おぼろげだけど、思い出した。ジャングルジム。
わたしは、登った。他の児童が下から、
「野々花。パンツ丸見え」
と、言われて、わたしは泣き出した。そのとき、夫が、わたしを揶揄っていた男の子に何か言って、ケンカになって、静也と、ある男子が殴り合いになって、先生に怒られた。
そのときに、たしかに、言った。先生に怒られて、戻って来た夫に・・・。
「思い出した?」
と、わたしの顔を見る夫。わたしは、頷いた。
「どうして、あのとき、静也は、殴ったの?」
「あいつが、『お前も、野々花のパンツが見たいのだろ』って言ったから」
夫は苦笑いした。
「見たかったの?」
聞くと、
「というより、あいつに見られたくなかった」
と、苦笑いする夫。
「そうなのね。でも、今は、知らない男の人に、抱かれるのも平気なのね」
わたしが苦笑いすると、苦笑する夫。
「金がないと子供が産めない女と一緒にいても意味がないでしょ。わたしは、好きでもない男の人としたいとは思わないから」
わたしが言うと、
「そうか。俺は、生まれてくる子供のためになら、野々花は耐えてくれると思っただけだ」
と、夫はわたしの顔を見ながら話した・・・。
「わたしと静也とでは、子供の価値が違うのね。わたしは、そこまでして、産みたくはないわ。静也との子供だとしても・・・。わたしは好きでもない男の人としたくないから」
わたしも夫の顔を見て話した・・・。
価値観の相違・・・。それが明らかになった瞬間だったと思う。