第28章 神楽殿
白桃神社は、白蛇を祀ってあるからか、観光客がチラホラといた。
俺は和風建築につい見取れながら参拝し、境内を散策してみる。そこに神楽殿も建っていて俺は息を飲む。あの日見た夢とそっくりだったからだ。
一面は壁だったが、その他の面は襖になっていて、正面の方は開けっ放しで真ん中に長い何かが置いてあった。……あれも、知っている。
それは神楽の杖と呼ばれて、先端の輪からぶら下がる無数の輪がぶつかり合って音が鳴ることで厄祓いになるらしい。
そしてどうやら、神楽殿はその杖を使って昔は巫女が舞をしていたらしい。七五三には子どもに持たせると健康的になるとかで持たせることだけは何とかうんとか……。
神楽という舞は、かつては神様に捧げる生贄の代わりに捧げる踊りだったという話は聞いたことがある。それが、あの日見た夢となんの繋がりがあるのか分からないが、あの時俺は子どもだった。その時のよく分からない妄想が、夢となって見たりでもしたんだろう。昔からゲームばかりやっていたからな。