第25章 破片
僕の目の前は、アスファルトもない道で、バタバタと忙しそうに色んな人が行き通っていた。
そのせいで砂埃が舞っていて僕の目の前は少し煙っぽかった。そこから少し目を逸らすと、木製の建物同士の隙間に、白っぽい蛇が倒れていた。
僕は思わず手を伸ばそうとしたけれど、それより早く誰かの手が出てきて動きを止めた。そこにいたのは、和服っぽい物を着た女の人だった。
「あら、蛇……? こんなところにいたら踏まれちゃうわ」それから女の人は、蛇に何かを渡した。「これしかないんだけど……私たちの秘密よ?」
僕は蛇に渡した何かをよく見てみた。それは一見、栗みたいな形だった。だけど栗よりは大きくて、ちょっとピンクっぽい。それって、もしかして……。