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あの日見た桃の思い出

第22章 意志


 ガンッ……!
 僕の手も腕も肩も、強い衝撃でじんじん痺れた。
 だけど、それ以外に痛みはなかった。
「な、にが……」
 僕は恐る恐る目を開ける。
 まるで静止した映像みたいだった。僕の周りにいつの間にか沢山の化け物たちがいて、それらは一斉に鉄の棒で僕を襲ってきていたのに、一本は魔法球に当たってひび割れ、他は赤い蛇と黒い蛇の頭と尻尾に巻きつかれて一つも動いていなかったのだ。
「炎蛇さん、闇蛇さん……」
 僕は彼らに呼び掛けたが、喜んでいる時間はなかった。
 ボッ! とたちまち火が広がり、僕たちは一瞬にして火事のど真ん中にいた。闇蛇が僕の足に巻きついてきてまた黒い魔法が掛かる。化け物たちは、突然の炎に慌てふためいていてそこらを飛び跳ねたが、僕は熱くも息苦しくもなかった。
「さぁ、行きましょう」
 炎蛇のキレイな声が僕を呼んだ。だが。
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