第19章 侵入
僕は闇蛇の力のおかげで、あちこちの部屋や縁側を、足音もなく走り回った。
僕は魔法がかかっているから、誰かにぶつからない限り透明人間になったらしいが、屋敷の中には誰もいなかった。
僕の心臓はうるさかった。こんなに緊張したことはない。でも、ちょっとワクワクしているのも本当だった。
あの場面を見るまでは……。
「貴様は有罪だ!」
大きな声。僕はびっくりして飛び上がってしまった。
何やら声は障子の向こうから聞こえていて、声の主がボソボソと何か喋っている。なんて言っているのだろう? と障子に近づいた瞬間、聞いたことのある声がして僕はまたびっくりすることになる。
「その通りです、お屋敷様──」
炎蛇の声だった。
聞いた瞬間、僕の頭の中は大混乱だ。どうして、なんでここに炎蛇がいるのか。炎蛇は逃げたのではないか? 僕は理解出来なかった。
ただ、聞こえてきたのは「お屋敷様」とやらの声が、こう言ったことだけが分かって。