【ヒロアカ】change the truth【R18】
第2章 目を開けるとそこは
「わかりました」
相澤先生はそう答えると、踵を返して校長室の扉へと向かった。
背中をこちらに向けたまま、淡々とした声を落とす。
「ついてこい。検査が終わるまで、余計なことはするなよ」
その言葉に、私は小さく「はい」と答える。必要以上に話しかけてはいけない気がして、口をつぐむ。
.....病院で、個性を調べる.....か
胸の中が痛む。
私を調べても個性なんて存在しない。
だって、個性があるのはヒロアカの世界の話で、他の世界からきている私に個性なんてあるわけない。でも私が無個性だったらーー相澤先生はわざわざ"監督”なんてしなくていいと言い出すかもしれない。
そうなったら、私は......この世界でどうやって1人で生きていけばいいんだろう。
不安が首筋からじわりと這い上がり、胸の奥で重くのしかかる。思考もどんどん暗闇へ落ちていきそうだった。
ただ、今は考えすぎないようにしようーーそう自分に言い聞かせるように、ぎゅっと拳を握る。目の前には相澤先生の背中。彼の存在が、今かろうじて私の不安を抑えているのかもしれない。
ーーそうして無言のまま、私たちは校舎の廊下を進んでいった。