第6章 浮島
「なんかあのゲート、開いてません?」
とMENが目で指す方向に、一つのゲートがあった。それは、MENがいたゲートの隣で、さっき見たのと同じく何かの膜がぼんやりと張っていて、横には雪だるまと二匹の猫のぬいぐるみが置いてある。僕はMENを見やった。MENはどういうことか分からないと肩をすくめたが、雪だるまと猫のぬいぐるみが何を示すかは薄々気づいていそうだ。
「さっきね、こっちのゲートに、MENのツルハシとダイナマイトがあったんだ」
と僕は、MENと会ったゲートの方を指した。そのゲートにはツルハシもダイナマイトも跡形もなく消えていたが、五つしかないゲートの端にあったから間違いはない。
「そのゲートに入ったら俺が三人いたってことです?」
とMENが訊いてきたので僕は頷いた。さすが、状況の理解が早いので説明が短く済んで良かった。
「だから多分、今度はおらふくんに関する何かがあるんだと思う」
と僕が言うと、MENは目を大きく見開いた。
「もしかして……こんちゃっちゃ迷路?」
「僕もそんな気がしてるんだよね」僕はゲートの前に立った。「多分、みんなの試練みたいなのをクリアしないと、ここから出れないんだと思う」
「じゃあ俺はここで待ってますね」
とMENはその場で胡座をかいたから僕は一旦引き返した。
「ええ、MENも行こうよ。一人じゃ解決出来ないこともあるかもしれないし……」
「でも、俺も行けって書いてないっすけど」
「僕が行けとも書いてないけど」
「え、じゃあ俺だけで行くのもありってこと?」
「ハハハッ、そうかもね」
そんな冗談を言い合っていたら、なんだか一気に力が抜けた。僕は気づかない内に体に力が入り過ぎていたみたいだ。MENがいてくれて良かった。
そのことにMENが気づいて冗談を言ったのかは分からないが、とりあえず僕たちは、開かれたゲートを潜ることにした。