第6章 浮島
「ん……ここは……」
気づいたら僕は倒れていた。ようやく変な夢から醒めたのかと体を起こしたが、残念ながら違うらしく、景色は主に真っ黒だった。
僕は、どこか分からない黒い液体に囲まれた浮島で目が覚めたのだ。
立ち上がるとやはりゲートが五つあり、僕はまだこの夢から醒めていないのかと落胆しかけたが、変化はあった。
「ここ、どこっすか」
MENがいた。
「え、MENもここにいたの?」
僕は声がした方を見る。そこには、豚のスキンではなく、リアルのMENが立っていてびっくりする。え、そこにいるのは本物のMEN? 僕の頭は大混乱だ。
「僕、さっきまでMENが出てくる夢を見ていたんだよ……」
「奇遇っすね。俺もです」
僕がさっきまで起きたことや見たものを思い出しながらそう言うと、MENからの思わぬ返しでまたびっくりする。じゃああの時はMENだったの? と聞くと、確かにドズさんの背中に飛びついた夢を見たとMENが言い、他にも色々合致することから、僕たちはゲームスキンのまま会っていたということが分かった。
「でもなんであの時、俺が本物だと思ったんすか?」
「なんでだろう。MENならあの時、僕のことを素直に助けないと思って」
「はははっ、どういうことっすか、それ」
MENは笑っていた。MENのことだから、あまり気にしないんだと思う。
僕はそんなMENを横目に、いつも自分のことを呼ぶ声を思い返していた。
「ドズさん?」
MENが不思議そうな顔してこちらを覗き込む。その呼び方なんだよなぁとしみじみした僕だったが、そんな悠長なことを考えている状況ではなさそうだ。