第5章 見抜け!
「ドズさん!」
その時、後ろから声が飛び込んできた。
「MEN!」
これはMENだ。なぜかそう思った。振り向くと丁度僕とは真反対の穴の向こうにMENの姿があった。
それはゲームスキンの豚の姿だったが、間違いないと僕は思った。MEN、助けて。と言いかけたが、ニヤリと笑った豚の顔が見えた。
「こうするしかないんで!」
「え、MEN?!」
どういうことか、MENは僕に飛びついてきたのだ。そのまま僕の背中を掴み、耐えきれなくなった僕の腕はついに地面を手放してしまった。
ものすごい勢いで落下する僕たち。何してくれているんだと後ろのMENを出来るだけ睨みつけるが、MENは明るかった。
「ドズさんが俺を本物って認めてくれたらここから出られるっす」
とMENは言って。
「それ本当なの?」
と僕はMENに聞いたが、確かに奈落に落ちたはずの僕たちは、いつまで経っても落下し続けていて状況が変わらなかった。もしあっちにいたのが本物だったら? と聞くと、その時はその時っす、と返されて。
「やっぱり、MENなんだな?」
「そうっすよ」
僕が疑っているかも分からないのかなんなのか、僕の問いにMENはいつも通り口調が軽い。まるで、僕が本物を見分けなくてもいいような口ぶりで。
「……君が本物のMENだ」
僕ははっきりと、MENにそう言った。MENの豚の耳がぴょんっと上がった気がしたが、それがどういう心境を指したのか僕には分からない。
ただ分かるのは、僕たちは光の中に包まれて、目が開けられなくなったってことだけだ。