第28章 絆
声が聞こえて、ふっと視線を下ろすと真下の崖にゾッとした。霧はいつの間にか晴れている。
そして僕は、服とズボンを左右から複数人に引っ張られたまま崖上をぶら下がっていた。一歩間違えたら、僕は崖に落ちていただろう。
「全くも〜、何してんのよ、アナタは!」
よく聞き慣れた声がして、心が震える。
「無事で良かったです」
「怪我はないですか? ドズルさん」
「目の前で飛び降りされたら後味悪いんで」
仲間たちの声も続いて。
「みんな、ありがとう」
僕は自分を助けてくれた彼らを、ひしと抱きしめた。