第22章 対面
「ぼんさん……」
呼びかけるも、ぼんさんは頭を抱えたままその場に横たわり、周りの変化には気づいていないみたいだった。それより早く薬を探さなきゃ。そうして僕は色んな種類の薬箱を漁るが、不思議なことに日本語どころかなんの文字も書いていなくて、どれが頭痛薬か分からなかった。
間違った薬を飲ませたら、ますます体調を悪化させる可能性がある。
それは僕がよく知っていることだった。適当な薬を与えていいはずがない。ここにいるぼんさんが、僕の知らないぼんさんだとしても。
直後、光ってもいないのに、何か目立つ薬箱に目が止まった。手に取ってよく見てみるが、やはり説明書すらない薬。だが妙に気になる。僕は周りの薬箱を見比べて気づいた。紫の薬箱はこれだけだ。
「ぼんさん、薬ですよ。飲んで下さい」
僕は錠剤の薬を取り出しぼんさんの口に持っていく。ぼんさんのサングラスはズレていて、弱った眼差しが隙間から見えた。ぼんさんが言ってくれたこと、僕は忘れないですからね。
「ドズルさんに会っていなかったら、俺はどうなっていたか想像したくない」
僕もです、ぼんさん。
僕は、ぼんさんが薬を飲み込んだのを見守った。