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深淵もまた覗く[dzl]

第20章 静けさ


「ドズさん?」
 ぼんさんたちのネタが終わり、客たちが帰り始めたと気づいたのは、MENに呼びかけられてからだった。
「あ、ああ、終わったのか……」
 と僕が立ち上がるとMENが覗き込んで一言。
「どうします?」
「どうするって……」
 僕はなぜか言葉が詰まった。そんな心境を察したのか否か、おらふくんの声が割り込む。
「ぼんさんに会いに行きましょう!」
「あ、ああ、そうだね」
 と僕はなんとか頷くが、そのために必要な思考回路が回らない。
「関係者用の通路は向こうにあるみたいですよ」
 助け舟を出すかのようにおんりーがそう言った。よし、とりあえず行こう。どうやってぼんさんに会うか、その時に考えるとして。
 僕たちは客席をあとにした。
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