第18章 現実世界?
プップー!
「ドズルさん、危ないっ」
おんりーの声が飛び込み、僕は周りがよく分からないままぐいっと片手を引っ張られる。
すぐ後ろでは、少々荒々しい運転をする自動車が通り過ぎ、僕は現実世界と変わらないビル街の横断歩道のど真ん中に立っていたということだけが分かる。
「いきなり横断歩道にワープとかヤバ過ぎるだろ」
とMENが呟き、通り過ぎた車を睨みつける。車はとうに見えなくなっていたが、僕がさっきいた横断歩道の信号はまだ青だった。完全に車が悪いのに停まることもしないなんて、僕たちは一体どんな世界にやって来たのだろう。
「ここ、どこですかね?」
そばにいたおらふくんが、そう言って辺りを見回した。僕も見てみるが、どこかの都会にあるようなビル街にいるみたいでそれ以外の情報がない。見たことがあるよう景色なのに、まるで記憶からすっぽり抜け落ちたみたいにここがどこなのか分からないこの場所に、少し怖さすら感じる。
「とにかく、この世界ではぼんさんを探さないと」
と僕はみんなに言い、どこへ行けばいいかも分からずに歩き出したところで人だかりが見えた。周りに歩いている人たちも、その人だかりを目指して歩いているみたいだ。
「早くしないと、ケンシとぼんじゅうるのネタが始まっちゃうぞ!」
その中の一人が、そう言いながら僕たちの目の前を通り過ぎて行ってドキリとした。今なんて言った? ケンシとぼんじゅうる……?
「ぼんじゅうるって……」
「ぼんさんのこと……?」
おらふくんとMENも聞き逃さなかったようで、顔を見合って僕の方を振り向く。見るとおんりーもこっちを見つめていた。
僕は、目の前を通り過ぎた人が奥の人だかりへ向かっていくのを見、確信した。
「あそこにぼんさんがいるんだ。行こう」
僕たちは、その人だかりがある建物の方へ歩き出した。