第15章 救出
「おんりー、思い出してくれ! 僕だよ、ドズルだよ!」
僕は地面に下ろされたMENの前に立ち、両腕を広げた。続いておらふくんも声をあげた。
「そうだよ、おんりー! 僕たち、一緒にカフェ行ってお茶したんだよ!」
更に続きをMENに言ってもらおうとしたが、えー、なんか一緒にやったことってなんだったけ……と恥ずかしがって口ごもってしまった。ちょっとMEN、何か言ってよ……と僕が言おうとしたら。
「おんりーとやったら鬼畜企画は全部酷い鬼畜だったのは覚えてんだからな!!」
記憶喪失の人に言うセリフ?! MENの訳の分からない言い分に僕は思わず笑いそうになりながらもおんりーを見上げたが。
「思い出すために、斬られてくれますよね?」
おんりーからの非常な言葉に僕たちは落胆した。ここには、おんりーを助ける方法なんてないのだろうか。
「ニャア」
そこに、一匹の猫が僕の足元にすり寄って来た。恐らくおらふくんが連れてきた猫の一匹で、随分人馴れしているみたいだった。僕は二人を振り向いた。
「みんな、動物の裏に隠れて!」
「え」
「いいんすか、そんなことして!」
僕の突然の発言におらふくんは目を丸くし、MENは(多分おらふくんのために)そう言い返した。でも、僕には一つだけ確信があったのだ。
「大丈夫。おんりーは、動物やアレイを斬ったりしない」
その言葉を最後に、おんりーが剣を構えて飛びかかってきた。二人は戸惑いながらもそれぞれ猫と犬を盾にするかのように身を縮めた。僕は足元の猫を持ち上げて顔まで近づけた。猫ってこんなに体が伸びるのか。
間近で、剣が空気を切った音がした。