第13章 無理難題
「ちょっと、あんなのは無理だって!」
鋭い目つきで容赦なく剣を振り回し、距離を離したらまさしく「エンパ」のように一気に近づいてくるおんりーに、僕らは五分も経たずにすっかり音を上げていた。
「おんりー、そんなに体力に自信ないって言ってたけど……めっちゃ早いですよね」
一時的な避難所を地面の中に作ってくれたおらふくんが、そう言って僕の方を見る。
「ほんと、どうなってるんだ……」
と僕は言いながら考える。今地上では、MEN一人でおんりーとやり合ってるところだろう。しかし、そう時間も持たない。なぜなら僕たちは体力が消耗しているからだ。反対、おんりーはなぜか疲れた様子を見せない。
「ワンッ」
その時、地上の方で一つの鳴き声が聞こえた。MENやおんりーの声ではない。僕の聞き違いでなければ、多分犬の声だ。
「上に犬でもいるのかな?」
「あ、僕がさっき見かけたワンちゃんかな? さっきちょっと撫でてあげたんですよ〜」
「おんりーから逃げてた時に?」
「ちょ、ちょっとだけですよ!」
とおらふくんは申し訳なさそうに両手を前に振ったが、もしここがゲームの世界と同じなら何かの突破口になるかもと僕は考えた。
「ドズルさん、もう行くんですか?」
おらふくんが地上に出ようとした僕の背中に聞いてきた。
「おんりーの記憶を取り戻す方法がどこかにあるのかも。ちょっと探してくるよ!」
地面の中にいては何も見つからない気がする。僕はそんな感じがしていた。