第11章 今の状況
「ドズルさーん」
聞き覚えのある声に僕は目を覚ます。
体を起こすと真っ黒な空と真っ黒な海が見え、草のような砂のようなところで僕は倒れていたのだということが分かってきた。
「ここは……」
「おはようございます、ドズルさん」
僕がつい言葉を零すと、横から突然誰かが顔を覗き込んできた。
「おらふくん?」
それは、先程雪原で見たキャラクタービジュアルのおらふくんでも、子どもでもなく、成人男性のリアルおらふくんの顔だった。しかも短パンに裸足だし、室内にいた時にこの妙な世界にやって来たのだろうか。
「そうですよ! 僕、気づいたらこの島に立っていたんです」とおらふくんは答えた。「ここ、どこですかね? 僕、家にいたはずなんですけど」
「それは僕の方こそ聞きたくてね」
「え」
僕は立ち上がり、土埃を払うとMENがゆっくりと近づいてきた。起きましたか、と一言。MENは鬼畜企画をやり過ぎたせいなのか落ち着き過ぎている。本当に、この訳の分からない夢に見慣れているのか、それともそこにいるMENすらも夢なのか分からなくなってくる。
「話はMENからも少し聞いたんですけど、よく分からなくて」とおらふくんが言う。「僕、子どもになってる夢を見たんです。でもそこにドズルさんとMENがいて。僕、家に帰るまで二人のことを忘れてたんですよ〜、変な夢やったなぁ……」
と斜め上を見上げるおらふくんの口ぶりから、やはりMENと同じく、僕たちはあのゲートの先の世界で会っていたらしい。信じ難い話だけど、この夢みたいな世界なら、あり得るのかも。
「僕たちはあのゲートを通って子どもおらふくんに会ったんだよ」と僕が五つのゲートがある方を指すと、また一つだけ別のゲートが開いていた。「あれ、またゲートが開いてる……しかもバナナとボールが置いてあって……」
開いているゲートの横には、大きなバナナのぬいぐるみと、緑色をした透き通ったボールみたいな物が置いてあったのだ。これは明らかにおんりーを指すものだ。緑のボールが何を示しているのかは分からないけど。