第9章 ある意味迷路
「扉にはなんの仕掛けもないよな……」
僕は一つの扉に近づいて注意深く観察する。至って普通の木製の扉で、開けたり閉めたりしても違和感はない。
ふと、僕は奥に入ってもう一度扉を閉めた時にハッとした。扉が妙に分厚いことに気づいたからだ。
「ねぇ、MEN、ちょっとこっちに来て」
「なんすか?」
辺りを探索していたMENを呼んで、扉の裏に回り込んで扉が分厚いことを一緒に確認する。確かに分厚いっすね、とMEN。
「こういう迷路、前におらふくんが作ってなかったっけ?」
と僕が聞くと、MENはそうだったっけと天井を仰いだ。
「そういえば、前に作ってましたよね」とMENが話し続ける。「確か、おんりーがすごく沼ったあの」
こんちゃっちゃ迷路は、何もぼんさんばかりに仕掛けた訳ではない。おんりーに仕掛けた時も、思わぬおらふくんの罠におんりーはかなり沼ったのだ。
「ちゃんと扉を閉めましたか」
ってヒントを言って。
そうなると僕たちの行動は早かった。MENは向かって右の扉から、僕は左から順に、一度開けた扉を閉めた。扉は思っていた以上に分厚いのに、よくある扉のように軽いからよく出来た夢だなぁなんて、僕はまるで他人事のように思った。