第38章 緋色の実情
先程、椛は『安室透』と言ったが、しっかりと『降谷零』の名前を返される。
もう、彼の正体がバレていることは、分かりきっている事だったが…
赤井の口からその名前が出ることが、少し不思議な感覚がした。
椛「…」
赤井「…椛が降谷君に固執しているのは、スコッチの件があってのことか?」
以前、スコッチもとい、諸伏景光との過去の話をした時の事を、言っているのだろう。
景光の事を忘れたことは無かったし、これからもきっと忘れる事はないだろう。
だが、景光との別れも、死も既に受け入れている。
景光に対して懺悔の気持ちなど網等にないし、むしろ感謝しかない。
椛「それはそれ、これはこれよ。
それが理由で、彼と付き合ってるわけでは無いわ。
彼の事はちゃんと好きよ。」
赤井「そうか…」
今まで椛は結局、ベットに横になったまま話していたが、いったん会話が途切れたのをきっかけに、体を起こして枕を背にすると、ベットに腰かける。
視線の高さが、幾分近くなった。
先ほどまでは寝起きで眠たかったが、話混んでるうちにすっかり目が覚める。
赤井の方はと言えば、ベット縁に腰掛けて太ももに肘を立てて座っている。
その様子は、何だかいつもよりも疲れている様に見えた。
椛「秀一は、私の事…
新一君達みたいにもう、探ってきたりはしないのね…
秀一の事だから本当はもう…
あらかた検討が付いているんでしょ?」