第38章 緋色の実情
赤井(流石にもう熟睡しているか…)
もう一度呼んで反応が無ければ、明日にしようと思い、再度ドアをノックすると…
椛「は~いぃ…」
部屋の中から微かに声がして、起きていることを確認すると、ドアノブに手をかける。
扉に鍵はかかっておらず、ドアノブをひねると素直に扉が開いた。
そっと室内に足を踏み入れると、声の主を探す。
ベットの上で横になりながら、腕を伸ばして伸びをしている彼女の姿が目に入った。
赤井「…起こしたな。」
椛「起こしたなじゃなくて、
『起こしに来た』が正解でしょ?」
寝起きで少しかすれた声の彼女。
布団からまだ起き上がる気はないのか、ベットの上でモゾモゾと引き続き伸びをしている。
そんな彼女の様子を横目に、ベットの側まで歩みを進める。
ベット脇まで来た赤井を見上げると、そのまま眠気眼でジッと見つめた。
そこには変装をしていない、本来の彼の姿。
トレードマークと噂の帽子は被っておらず、髪は無造作にかき上げられている。
完全にオフモードなのだろうか…
そんな赤井の姿が少し、新鮮に椛の目に映った。
視線は重なっているが、横になったまま動かない彼女の様子からは、やはり起き上がる気が感じられない。
そんな彼女の心理をくみ取ると、そのままベットの脇に腰かけた。