第37章 緋色の思惑
先程、電話では家にその時間居ないと言っていたが…
予想に反して、その室内には沖矢の姿があった。
椛に名前を呼ばれて、椅子から立ち上がり、こちらに近づいてくるが…
椛「…違うか、優作さんですね。」
彼女の言葉に、足元に居たコナンは目を見開いて、驚いた顔を浮かべる。
それに反して、目の前の昴の格好をした優作は薄目を開けて、楽しそうに微笑んだ。
優作「こんにちは、椛さん。
先日はどうも。
急に呼び出して悪かったね。」
見た目は沖矢、声は優作のまま話しかけてきた。
コナン「なんで?
椛さん、今日、昴さんの変装してるって知ってたの?」
優作の変装を一瞬で見抜き、驚いた表情を浮かべるコナン。
そんなコナンとは反して、全く変装が通用していない事を、気にも留めてない様子の優作。
優作「どうやら、私の変装は貴方には通用しなかったようだね。」
椛「…そうですね。」
優作「何故、私だと分かったのか聞いても?」
椛「…首から上は確かに『昴さん』だけど、それ以外は完全に優作さんですから。
骨格も、そして歩き方も。
それに何より、その袖から出ている手…
秀一の手と全く違う。
男性はあまり気にしてないみたいですけど…
『昴さん』にも以前、同じ事を言ったことがありますが…
女性は男性の手元を結構、見ているものなんですよ?」