第37章 緋色の思惑
そんなに遠く無い、沖矢の仮住まい…
工藤邸に着くと、もう押し慣れたインターフォンを押した。
中庭を抜けて玄関扉に手をかけると、中から扉が開く。
誰が中にいるのだろう。
先日のことを考えると、今日ここに居るのは優作か、有希子だろうか…
開いた扉の彼女の目線には誰もおらず。
足元に気配を感じ、目線を少し下へ向けた。
椛「コナン君…」
コナン「椛さん、いらっしゃい!
待ってたよ!」
予想に反した人物からの出迎えだったが…
一先ず玄関で立ち話も嫌なので、素直に中に入る。
椛「コナン君、学校どうしたの?
今日平日だし、まだ学校の時間だよね今。
休んだの?」
コナン「うん、そうだよ!」
なんの悪気もなく、あっけらかんと言い放つコナンに少し呆れるが…
もうこれは何かあるとしか思えない状況に、段々と脳内が冷静になっていく。
リビングに通されるのかと思いきや、そのまま2階に連れて来られる 。
とある部屋の前で立ち止まると、コナンは躊躇なく扉を開けた。
扉を開けて見えたその部屋の中には、幾つものディスプレイが並んでいる。
そして、そのデスク前に座る大人の男性の後ろ姿。
扉が開くと、背を向けて座っていたところから振り返り、視線を向けた。
椛「昴さん?」