第36章 友情と責務
椛「そうですか…?
普通だと思いますけど…」
黒田「ふっ、だからさっきも言っただろ。
椛さんの『普通』は『普通』じゃない。
はははっ!!」
駐車場で落ち合った時は、眉間に皺を寄せていたのに、あの時の雰囲気とは打って変わって楽しそうな様子の黒田に、思わずもらい笑いをしてしまいそうになる。
椛(まぁ、いつも眉間に皺を寄せてる様な話ばかりだから、こんな時もありだろう。)
話したい話が粗方終わった為、適当に街中をぐるぐると車を走らせていたところから、椛の自宅まで戻ってくる。
椛「送っていただき、ありがとうございました。」
黒田「こちらこそ急に呼び出して悪かったな。」
椛「いえいえ、問題ないです。」
黒田「では先程の件、よろしく頼む。
護身術の件はまた追って連絡する。」
椛「分かりました。
こちらこそよろしくお願いします。」
簡潔に挨拶を済ませると、いつも誰かに送ってもらうと必ず見送るが、サッと車を降りて、出来るだけ一目に付かないよう、直様建屋に入る。
建屋のガラス扉が閉まり振り返ると、黒田の車ももう既に走り去っていた。
自宅に戻ると、電源は消して出たが、先程作業しようとしていたパソコン画面がいの一番に目に入る。
椛(今日は結局、報告書はもう必要ないって言ってたし…
時間が出来たな。)
先程車の中で、粗方の話が終わった後、今日の報告を車内で済ませた。
少し早いが夕飯を作ろうとキッチンに入る。