第36章 友情と責務
黒田「オーケストラの奏者の方に…
楽器を持つ手に響くような痛め方をしたら、流石に私も責任を感じる。」
椛「あっ、そうですよね…
お気遣い痛み入ります。」
黒田の代替え案で納得したのか、椛は少しホッとした様に笑顔を浮かべた。
黒田「それにしても、射撃も身につけてこれから護身術まで身につけるなら…
もういっその事、公安に入ったらどうだ?
君なら筆記も勉強すれば通るだろう。」
椛「…お言葉は嬉しいですが、警察官はちょっと…」
黒田「ん?なんだ?
椛さんは警察官は嫌いだったのか?」
椛「いやいや!!
嫌いとかじゃないです!!」
黒田「?
じゃあ何か、警察官になったら他に困ることでもあるのか?」
椛「今の持っている自分の仕事を、手放したくないです。
警察官だと副業禁止ですよね?
あと、公務員だと給与所得になるからガッツリ税金引かれますよね。
それに、公務員だと節税しずらいし。」
中々現実的な理由に、先ほどまで車内に流れていた雰囲気から一転、一気に空気が緩む。
黒田「あはははははははっ!!」
椛(えっ!?なに!?)
急に声を出して豪快に笑い始めた黒田を少し不審に思いながら、様子を伺う。
黒田「あはははっ!!
椛さんは結婚したら、金勘定が随分としっかりとした嫁さんになりそうだな…
はははっ!!」
椛(えっ?そこ?)