第36章 友情と責務
黒田「そうか…」
椛(まぁ…
そんな事言っても、外国籍を名乗るのは、日本ラブな零は断固拒否しそうだしな…
そんな提案されても、上手い事かわしてそうだな…)
一連の彼女の説明に、思い当たる節が黒田にもあるのか…
言い返す事はせず、彼女の話に耳を傾ける。
椛「彼は、今回の事知ってるんですか?」
黒田「あぁ、今さっき、椛さんと合流する前に電話で軽く話はしてある。」
椛「そうですか。」
黒田「椛さんはFBIの友人がいるようだが?」
椛「えぇ、いますよ。
ジョディの事ですよね?」
黒田「彼女から何か、探りは入れられていないのか?」
つい先程まで、一緒にいた友人との会話が、脳内に蘇る。
椛「彼女とは普通の恋バナはしますけど、彼についてそれ以外は特に何も…」
黒田「そうか…」
椛「彼女と…
FBIと仲良くするのはやはりあまり、良く無いですよね…
彼女とは協力者の件、引き受ける前に知り合ってるし、距離を置いた方が不自然かなと思って今まで通りにしてたんですけど…」
黒田「いや、そんな事はないさ。
向こうは向こうで何か会話の中でポロッと、溢すかもしれない。」
椛(なるほど、黒田さんはそんなふうに思ってたんだ…)
そこまで聞くと、一旦会話が途切れて車内にはエンジン音だけが響き渡る。
全てを話してしまえないもどかしさが、椛の胸の中に渦巻いた。