第36章 友情と責務
黒田「ここ1週間程、警察庁のメインコンピューターへのハッキングの数が倍増している。」
椛(えっ?)
椛「ハッキング…
抜けられたんですか?」
黒田「いや、攻撃は受けているが抜けられてはいない。」
椛「…そうですか。
何故その話を今、私に?」
黒田「警察学校のメインコンピュータも、ハッキングが同様の状況に置かれてる。」
椛「えっ?
そちらは抜けられたんですか?」
黒田「いや、抜けられてはいないが…
とある年代の卒業生リストに攻撃が集中していて、狙われている事までは分かっている。」
椛「とある年代って…」
黒田「降谷や諸伏が在籍していた時の年代だ。」
椛(それって…)
椛「彼の素性に勘付いて、調べている人がいるって事ですか?
ハッキング先…
犯人は分かってるんですか?」
黒田「犯人は特定出来ていないが、ハッキング元はどうやら都内だという事は分かっている。
…組織側の人間じゃなければ良いが…」
椛「そうですか…」
常に狙われ、追われる立場であり、危険な潜入任務の最中だと、頭では理解している。
しかし、彼の身が危ないと現実が突きつけられると…
腹の中の重心が静かに、下がっていくような感覚がした。
黒田「椛さんが把握している周辺人物で、思い当たるような人物はいないか?」