第36章 友情と責務
騒いだりしょんぼりしたり、やっと普通に話し始めたと思ったら、今度は少し神妙な面持ちで話を振って来た。
ジョディの言う『例の彼』と言えば、1人しか思い浮かばない。
椛「うん、ちゃんと付き合い始めたよ?」
ジョディ「そう…」
本来だったら、テンション高めで喜んでくれそうな所だが…
恐らくあの後、赤井が持っている情報がジョディ達にも全て渡っているなら…
FBI側には、安室透がバーボンだバレている筈。
もしそうだとしたら…
と言うかほぼそうだろうなと椛は確信して居たが…
ジョディにその事を、直接確認する術はない。
その場合、ジョディの立場からしてみたら、色々思うところがある事は当然だろう。
椛から見ても、かなり複雑そうな表情をしている。
そんなジョディの気持ちを察して、椛は言葉を繋ぐ。
椛「私は大丈夫だから、心配しないで?
ちゃんと仲良く過ごしてるよ?」
ジョディは隣に座る椛の方に、視線を合わせる。
そこには、いつも通り穏やかな笑みを湛えている、椛の表情があった。
ジョディ「椛は…
いえ、そうなのね。
なら、おめでとうと言うべきね。」
ジョディの言葉にはやはり、渋く複雑そうなニュアンスが含まれている。