第35章 闇の男爵夫妻
何故か急に少し照れたように、軽くそっぽを向いてしまった彼を、そのまま見つめる。
薄暗い室内でも、彼の頬から耳にかけて、若干赤みを増しているように見えた。
そんな彼の表情がたまらなく愛おしくて、回す腕の力を強めると首筋に抱きついて、彼の男らしくも美しい首筋に口付けを落とす。
降谷「っっ…」
僅かに息を漏らした彼に気をよくすると、唇を薄く開いて舌を這わせようとするが、そのタイミングで、ベットの側に辿り着き、ゆっくりと仕草でベットに横に降ろされる。
先程まですぐ側にあった彼の首筋が遠く離れて、少し寂しさを感じた。
彼女の身体を覆うようにベットに乗ると、柔らかい頬に手を添えた。
彼の指先がそっと、椛の赤く染まった唇を弾力を楽しむかの様に、なぞる。
降谷「…もの欲しそうな目で、俺を煽ってる…」
椛「煽ってるかどうかは分からないけど…
零の事は欲しいよ?」
降谷の指が彼女の髪をすくい上げ、首筋を撫で、鎖骨に触れたあたりで、彼の吐息が熱を孕む。
降谷「本当にもう…
そんな事言って…
どうなっても知らないからな…」
椛「もう黙って…
私に触れて…」
その一言が引き金になったのか、熱く熱を孕んだキスが降りてきた。