第35章 闇の男爵夫妻
降谷「この梅煮の梅干しは?
去年、仕込んだものなのか?」
椛「今、私が食べてる梅干しは3年ものが基本だから。
去年のではないよ。
去年仕込んだ梅干しはまだ、大事に熟成させてる。」
降谷「3年ものか…
凄いな。
やはり複数年漬けた方が良いのか?」
椛「そうだね。
私の感覚だと、3年ぐらい置くとやっぱり味わいの深さが全然違うと思うよ。
1年ものだと味がまだ若くて…
まぁ、それでも十分美味しいと思うけどねw」
降谷「成程…
梅干しの世界は中々奥が深いな。」
椛「去年のと、食べ比べしてみる?
食べ比べすると、浸かり具合の違いがよく分かるよ♪」
一度席を立ち上がると、キッチンから何やらガサゴソと梅の瓶を持って戻ってくる。
椛「これが去年仕込んだ梅干しだよ♪」
瓶の口を開けて一つ梅干しを箸で取ると、彼の取り皿に乗せる。
乗せられた梅干しをまるで何かの検査員かのように、香りと見た目を観察している彼の様子に、笑みが浮かぶ。
椛「ふふふっw
流石の探究心ですねw」
降谷「いやだって、せっかくだからしっかり違いを確認したいなと思って…」
彼の性格をよく表している言葉だなと、椛は思う。
椛「そっかw
では、心ゆくまで観察して下さい。」
見た目のチェックが終わると、そっと口に含む。
そんな彼の様子を隣で、微笑ましく眺める。