第43章 裏切りの擬装
そんな椛は、隣に立っている沖矢にスッと体を寄せると、皆には見えない様、そっと沖矢の背後に片手を伸ばす。
そして、沖矢の腰のあたりの服を軽く掴んで、ツンツンと引っ張る。
何か言いたい事があるのかと、察すると軽く椛の方に耳を寄せた。
椛「あの人、梓さんじゃ無い…」ヒソ
椛は周りには聞こえない声で、沖矢に耳打ちする。
沖矢は言葉を理解すると、椛の腰に手を回してそっと引き寄せた。
まるで『俺のそばを離れるな』とでも言うように…
コナン(椛さん…昴さん…)
一連の2人の動作を見ては居たが、椛の声はコナンには聞こえないし、口元もよく見えなかった為、言葉を読む事は出来ず…
そんな警戒する周囲の状況を差し置いて、梓の口は未だ止まらない。
梓「でね、お店のシフトを終えて、ここへ向かう安室さんの後をつけて来ちゃったってワケ!」
安室「驚きましたよ!
ここへ入ろうとしたら、彼女に呼び止められて…
まぁ、スタッフに事情を話してなんとか入れてもらいましたけど…」
梓に腕を組まれたまま周りを見渡すと、沖矢の前で安室の視線が止まった。
安室「驚いたといえば、貴方も来ていたんですね?
沖矢昴さん…
先日はどうも…」
沖矢「えぇ、こちらこそ…」
安室「…椛さんも来てたんですね…」
椛「えぇ、ここへ向かう途中の園子ちゃん達に誘われて。
一緒に…」
安室「そうでしたか…
それにしても、本当に2人は仲がお宜しい様で…
沖矢昴さん…
何故貴方が、椛さんの腰を抱いているんです?」