第35章 闇の男爵夫妻
降谷「このままだと、どんどんと終わりが遅くなるな。」
椛「ふふふ♪
そうだね。」
降谷「名残惜しいけど…
作業に戻ろう♪」
ゆっくりとした仕草で彼女の唇に、口付け落とすと、チュというリップ音と共に…
降谷「大好きだ。」
と一言添えて離れて行った。
椛「私も、大好きよ。」
先ほどまでの立ち位置に戻り、彼女からの言葉を耳にすると、満足そうな表情を浮かべて、仕込み作業に戻って行った。
そこからは手際よく手を動かしながら、最近、会っていなかった間の近状に関する雑談が始まる。
椛「今日来ている服、この間風見さんと買いに行った時のだね♪
やっぱりよく似合ってる。」
降谷「ありがとう。
風見が、『普段より随分と早く買い出しが終わって助かった』と言っていた。
改めて、椛に礼を言ってほしいと言われているよ。
俺からも、本当にありがとう。」
椛「お役に立てて何よりだよ。
それに、風見さんと零の服選ぶの楽しかったよ。
機会があればまた行きたいな♪」
降谷「そうか。
風見にもそう言っておくよ。」
椛「うん♪」
当時の買い物の事を思い出しているのか、楽しそうに夕飯の準備を進める椛。
降谷「あと…
風見から聞いたよ。
その時、事件に巻き込まれたんだって?
しかも…
側にいた妊婦の女性の、助産をしたと聞いたけど?」
椛「そうなのよ!
人質に取られた妊婦さんが、産気づいちゃってね!
妊婦さんも赤ちゃんも本当、無事で良かったよ!」