第35章 闇の男爵夫妻
なんて事もない様に言ってのける椛の様子に、降谷から思わず少し呆れを含んだ乾いた笑いが出る。
降谷「君って人は本当に…
まぁ、2人が無事だったのは何よりだが…
しかも、人質の身代わりになろうとしたんだっけ?」ジト目
椛(あぁ〜…)
一気に声のトーンが下がった事に、彼の心情を察する。
椛「いやぁ〜、その時はそれがベストだと思ったけど…
結局はそうならなかったから!
身代わりにはなってないよ♪」
努めて明るいテンションで答えるも、あまり納得していない様な雰囲気を醸し出している隣に立つ降谷と、目を合わせない様にする椛。
椛「ほら!
産気ずいて、それどころじゃなくなったし。
みんな無事で、犯人も逮捕できたんだし、結果オーライだよ!」
彼女の話は分かるが、自分がその場にいなかったから余計だろうか。
過保護モードが作動していて、あまり納得していない様子の降谷。
もちろん、その当時の話を風見から報告を受けて、すぐさま風見がドヤされた事は言うまでもない。
降谷「はぁ…
なんでそんなに危険を顧みないんだ…」
椛「ちなみに、風見さんは何も悪くないからね?
むしろ、守ってくれようと最前に立ってたからね?」
降谷「…」
風見の事は話に出していないが、今の降谷の言葉から、風見が責められたと感じ取ったのか、椛はフォローを入れる。