第35章 闇の男爵夫妻
しなやかに筋肉が付き、そして彼独特の褐色の肌。
今まで沢山の物をこの腕で守ってきたのだと思うと、先程まで梅を手に取っていた事が、たまらなくギャップ萌えに感じてくる。
降谷「これからも…
今年仕込んでる分も…
俺も食べていいのか?」
椛「うん、もちろんだよ。
一緒に食べよう?」
彼女の言葉に『自分の帰る場所』が出来た様な感覚がして、胸が熱く高まる。
更に彼女の首筋に顔をうずめると…
降谷「暫くは、出来るだけここに帰って来て、椛と一緒に梅仕事する事にする。」
椛「ふふふ♪
ありがとう。
お言葉は嬉しいけど、無理はしないでね。
私が勝手に量、増やしただけだから。」
降谷「うん…」
いつもとは少し異なる甘えたような返答と、更に抱きしめる腕を強める彼のしぐさに、何とも言えない愛おしさが沸き上がる。
『しばらく彼の好きにさせるか』と、
彼の腕をあやす様に指先で摩る。
指先から感じる彼の体温と、抱きしめられて体を包まれている感覚に、安心感を覚えると、だんだんと眠くなってくる。
椛(最近、睡眠時間、足りて無い気味だからな…
まぁ、毎年梅の時期はしょうがないんだけど。)
暫くすると、そっと抱きしめられている腕の力が緩む。
体をひねられる様になって顔を上げると、すぐ目の前に、大好きな彼のライトブルーの瞳があった。