第35章 闇の男爵夫妻
椛「分かりました。
では一緒に仕込みましょう。」
安室「良かった。
今、どの辺ですか?
このまま直ぐ車で向かいますが、迎えにいきましょうか?」
椛「あと、もう歩いて5分ぐらいなので、大丈夫です。
先に帰って片付けと準備して待ってます。」
安室「分かりました、では直接向かいますね。」
椛「了解です、ではまた後ほど。」
安室「はい、ではまた後ほど。」
電話が切れた事を確認すると、思わず口角が上がる。
椛(零に会える〜♪)
先程まで『今日は思いの外疲れたかも…』なんて思っていた事が、一瞬で吹き飛ぶ。
『げんきんで単純な性格だな』
なんて思いつつ、電話がかかってくる前より、幾分足取り軽く自宅への道を進んでいく。
家に着くと、直ぐ様今日の荷物を広げて先に片付けに入った。
一通り片付けが終わると、このあとの梅の仕込みの準備と、夕飯の準備を進めていく。
そして、帰ってきてから15分程しただろうか…インターフォンが鳴った。
オートロックを開けて、エプロン姿のまま玄関まで迎えに行く。
玄関扉を開けると、今日は安室透の仕事だったのだろう。
私服姿の彼が入ってきた。
降谷「ただいま、椛…」
椛「お帰りなさい…」
玄関扉が閉まる音を確認すると、靴を履いたままの彼の首筋に、両腕を伸ばして抱きつく。
抱きしめ返してくれる、彼の逞しい腕の温もりを背中に感じる。