第35章 闇の男爵夫妻
椛「もう…
意地悪…」
安室「あはははっ!
すみませんw
もし良ければその『完熟梅さん達』の仕込み、
僕も一緒に参加しても良いですか?」
椛「えっ?
一緒に?」
安室「えぇ。
僕、梅仕事した事なくて、一度してみたかったんですよね♪
今日はその梅で何を仕込むんです?」
椛「白梅干しの予定ですけど…」
安室「おぉ!梅干し!
是非参加させてください!」
思いの外テンションの高い電話越しの声に、少し驚く。
椛「…安室さん、私に気遣ってない?」
安室「いやいや、そんな事ないですよ!
梅仕事をしたい事も、梅干しを仕込んでみたかった事も本心です。
椛さんが作る梅干しは本当に美味しい。
前にもそう話したでしょう?」
彼の言葉に、過去、一緒に家で食事をしてた時のことを振り返る。
椛「確かにそう言ってたけど…
あまりにも急だったから、気を遣ったのかなって気になって。」
安室「梅は時期を逃すと、仕込めないのでしょう?
逆に、一緒に梅仕事が出来るこんなチャンス、逃しなくないよ。」
椛(…成程、確かにそういう考えをする人だった。)
電話口の彼の話ぶりと、声のトーンから素で思ってくれている事だと理解すると…