第35章 闇の男爵夫妻
安室「まだお仕事中でしたか?
今、大丈夫ですか?」
椛「えぇ、大丈夫ですよ。
どうかしましたか?」
安室「今日は帰り遅いですか?」
椛「いえ、今ちょうど帰り道ですよ。」
安室「…そしたら今日これから、椛さんの家に、会いに行っても良いですか?」
仕事で忙しいと聞いていたので、暫くは会えないと思っていが…
まさかの急な誘いに、胸が跳ねる心地がする。
安室は安室で、直ぐに彼女から返事が来なかった事に、誘いのタイミングが悪かったかと気を使う。
安室「今日は、帰ってからも忙しかったですか?」
椛「…うーん、
安室さんに会えるのは、とっても嬉しいのですけど…
今日帰ったら、絶対仕込まなきゃ行けない大量の完熟梅さん達が、私の帰りを待っていて、その作業をしないといけないんです…
だから…
私は今日、キッチンから中々出て来れないかも…」
彼女の言葉の羅列に、思わず色々な意味で笑みが溢れる。
安室「ふっw
気使うのそこですか…
僕は梅に嫉妬したり、構って貰えなくて拗ねてしまうほど、子供じゃないですよw」
椛「あっ、いや、そういう意味じゃ無かったんですけど…」
安室「じゃあどういう意味ですか?」
電話越しでも含みのあるニュアンスが伝わってきて、
思わず『しまった』と思ったが時すでに遅し。