第35章 闇の男爵夫妻
まだ空いていない箱を、彼女の手に一つ差し出す。
素直に受け取り、
『次は何が出てくるのか』
とワクワクして開けると…
中には口紅が入っていた。
キャップを空けると、チェリーピンクの紅が目に入る。
椛「これは一見、普通の口紅に見えますが…
私は塗ってもいいんですか?
塗らない方がいいんですか?」
博士「塗る前に確認するところが、流石じゃの。
それは椛君は塗らない方がいい。
そのリップ部分はただの口紅ではない。
経皮吸収型の麻酔薬で出来ておる。
皮膚に触れると、体内に吸収して大の大人なら、1分と経たないうちに眠りこける。」
椛「なるほど、間違えて自分に塗らないようにしないとですね。」
博士「それなら、拘束具が無くても相手を制圧できるじゃろ。
ただ、新一に渡している麻酔針の様な即効性の物とは異なって、それは経皮吸収タイプじゃから時間差がある。
なので時間は多少どうしてもかかるが…」
椛「十分です♪
ありがとうございます。
こちらも出来れば活躍しない方が平和ですね。」
博士「まぁ、それはそうじゃなw」
椛「けど、もしもの時はありがたく活用させて頂きます!」
博士「あぁ!
じゃんじゃんつかってくれ!
詰め替え用も一緒に作ったんじゃ!」
引き出しから小さな袋を取り出すと、袋の中から口紅の替え芯が出てくる。