第35章 闇の男爵夫妻
沖矢「事前に言ったじゃないですか。
彼女から聞き出せるような事は、何もないと。」
優作「まぁ、確かに聞いてはいたんだがな…
人の好奇心というものは、時に抑えが効かない物なんだよ…
『赤井』くん。」
本来の名を呼ばれ、少し口角を上げると、新しい茶葉を用意し始めた。
有希子「それにしたってゆうちゃん…
流石に質問が意地悪過ぎなかった?」
やはり、彼女に対する言葉がけの内容があまり気に入らなかったのか、素直に感じた事を伝える有希子。
優作「それは自覚しているさ。
しかし、こちらにも譲れない事情があるからね。
有希子は?
彼女の様子を見てどう思った?」
有希子「そうね〜…
演じている様子もないし、嘘をついているように見えなかったわ。
昴さんが言うように、味方と思って良いと思うけど?」
優作「完全に確信を得られるまでは、信じ切る事はできないが…
有希子がそう言うなら、そちら側に賭けよう。」
沖矢は入れた新しい紅茶を注ぐと、ソファに座り込み、再び3人で話し込むのであった。