第35章 闇の男爵夫妻
椛(…こういう時所はやはり父と子。
2人はそっくりだな。)
新一と違って優作の方が声色は優しいが、鋭く鋭利な言葉が飛んでくる。
優作の言葉に少し心を痛めながらも、しっかりと優作の単語一つ一つに耳を傾ける。
そんな2人の様子を、少し心配そうに眺めている有希子。
沖矢は相変わらず目を細めて、様子を伺っている。
変装して作られた表情では、彼の真意をハッキリと読み解く事は難しい。
椛「それは私に対して、釘を刺しているんですか?
こちら側の情報を、絶対漏らすなよ?と。」
優作「そう受け取るなら、そう思ってもらっても構わないよ。」
だんだんと…
しかし確実に張り詰めていく空気に、辺りはシンと寝り帰る。
閑静な住宅街にある、この大きな屋敷では、外の音もほぼ中には響いてこない。
優作「このまま話を続けていても、我々は平行線のようだね。
…では、最後にもう一つだけ質問させてくれ。」
椛「なんでしょうか。」
優作「バーボンは椛さんと2人きりで居る時は、どんな様子なのかな?」
椛(2人きりで居る時…)
優作の質問に、今まで過ごしてきた彼との思い出を一瞬振り返る。
ここで話しても問題ない話もあれば、話せない話もある。
もちろん後者の方が多いが…
『話せる話は、話しても構わないか?
少し話した方が、逆に主旨をずらせるか?』
と一瞬思考を巡らせる。