第35章 闇の男爵夫妻
秀一が淹れてくれた紅茶を、4人で囲む。
お腹はいっぱいだが、紅茶を口に含めると、鼻に通る香りがとても心地よい。
有希子「椛ちゃんと昴さんは、いつも講座の後はこうしてお茶しているの?」
椛「そうですね。
試食ランチが終わった後、秀一がいつも紅茶を入れてくれるんです。」
優作「思っていた以上に、二人は仲が良いんだな。」
有希子「本当ね〜♪」
二人の言葉を受けて、椛は秀一に視線を向けるが、涼しい顔でカップに口をつけているだけで何も言わない。
椛(否定も肯定もしないのか…
二人の前だと口数が少ないんだな。)
優作「所で、椛さんはバーボン…
安室君とはどこで知り合ったのかな?」
椛(やっぱり来たか…)
『講座の後にまた話がしたい』
と言っていた為、予想の範囲ではあったが…
いざ始まると、心の中が『スン』っと座る感覚がした。
椛「その辺りの事は粗方、新一君から情報が入っているのかと思ってましたが?」
優作「…まぁ、そうなんだが。
椛さんからも聞いてみたいと思ってね。」
先程までの和やかな雰囲気は静かに引いていき、代わりに少しづつ空気が張り詰める感覚がしてくる。
椛「既にご存知の話を、再度わざわざ私からする必要は無いのでは?」