第35章 闇の男爵夫妻
そのまま3人でワイワイと会話を楽しみながら、梅の仕込み作業を進める。
有希子はまさか日本に帰ってきて、梅仕事が出来るとは思って無かっただろう。
終始楽しそうに作業をしていた。
そして本来、椛と秀一2人でする筈だった作業だったが、有希子が入った事で、予定より仕込み作業は早めに終わった。
梅仕事で使用した調理器具を片付けながら、試食の準備をし、テーブルセッティングをする。
お皿の盛り付けがあらかた終わると、有希子は書斎に優作を呼びに行った。
キッチンに残された2人。
お茶の準備をしながら声をかける。
椛「有希子さんって、明るくて素敵な人ね。
まるで太陽みたい♪」
一緒に梅仕込みをしてすっかり打ち解けたのか、嬉しそうに有希子のことを褒める椛。
秀一「どちらかと言うと、椛も太陽系だと思うが?」
椛「えっ?」
秀一「椛がいると、いつも周りがパッと明るくなる。」
そんな形で褒められるとは思っていなかったため、少し頬に熱が籠ることを感じた。
椛「そんな…事ないと思うけどな…。」
秀一「椛がどう思おうと、俺はそう感じている。」
ハッキリとそう言われると、これ以上否定する気にはなれず…
椛「そっか…
ありがとう♪」
少し照れながら、お茶を注ぐ彼女の事を、微笑ましく見下ろす赤井だった。